喘息治療は、生物製剤という注射薬が登場して大きく変わりました。生物製剤とはその名の通り生物から作った薬です。生きた細胞を利用して作ってます。じゃあ今までの薬は何?と言われると化学的製剤です。化合物でできています。生物学的製剤は狙ったターゲット(炎症物質など)をピンポイントで止めたりすることができる薬です。喘息の場合はアレルギーの原因となる物質をターゲットに生物学的製剤が作られています。

従来の喘息治療は、吸入薬治療を行っても発作が治まらない人にはステロイド薬、という方法が主流でした。しかしステロイドは副作用も多く、長期には使いづらいものでした。最近では生物製剤を併用することで、喘息の重症化を防ぎ、ステロイド量を減らすことで、長期間安全に喘息を治療することができるようになってきました。


喘息の生物製剤注射

・ゾレア(オリマズマブ)

・ヌーカラ(メポリズマブ)

・ファセンラ(ベンラリズマブ)

・デュピクセント(デュピルマブ)


効果も高いが、薬の値段も高い

喘息の生物製剤は、喘息の重症化を防ぐことができる強力な薬です。副作用も、ステロイドに比べると少ないです。しかし治療効果が高い分、薬価もとても高く、1回の注射で、3割負担でも、5万円~10万円程度の費用がかかることもあります。現在、日本には喘息に使える生物製剤が4種類があります。


ゾレア(オリマズマブ)

ゾレアは抗IgE抗体であり、アレルギーを起こすIgEを破壊(中和)します。喘息だけでなく、アトピーや蕁麻疹でも使われます。ゾレア注射を打つ前に、血中のIgEが高いことを確認します。血清IgE抗体 100 IU/mL 以上であれば特に有効です。IgEが高値であるほどゾレアの使用量が増えて薬価が高額になってしまいます。更に基準値よりもIgEが高値の場合には適応外となってしまい使用できません。ちなみにゾレアは妊婦や授乳中でも安全に投与できます。


ヌーカラ(メポリズマブ)

ヌーカラは抗IL-5抗体であり、好酸球性炎症を引き起こすIL-5を破壊(中和)します。血中の好酸球数が高いときは特に有効です。末梢血好酸球数 300/μL 以上(または好酸球の割合3%以上)を目安にします。患者さんが自分で打つ『在宅自己注射』タイプもあります。


ファセンラ(ベンラリズマブ)

ファセンラは抗IL-5受容体抗体であり、ヌーカラ同様に好酸球性炎症を抑えます。違いはヌーカラが好酸球にくっつくサイトカインIL-5をブロックするのに対してファセンラは好酸球そのものに働きかけます。血中の好酸球数が高いときは特に有効です。末梢血好酸球数 300/μL 以上(または好酸球の割合3%以上)を目安にします。


デュピクセント(デュピルマブ)

デュピクセントは抗IL-4受容体α抗体であり、IL-4が関与する喘息の発作を抑制します。抗IL-4受容体抗体ですが、IL-13の受容体もブロックするように作用します。気道過敏性・気道リモデリングも減弱させるのが特徴です。患者さんが自分で打つ『在宅自己注射』タイプもあります。


ちなみに好酸球を計測するときは、ステロイドの影響がないときの方が正しく計測できます。ステロイド投与後に測定する場合は4週間あけてから血液検査をします。末梢血好酸球数 300/μL 以上(または好酸球の割合3%以上)が、ヌーカラ・ファセンラ使用の目安です。

 

生物製剤の副作用

・アナフィラキシー

・寄生虫感染

・帯状疱疹(ワクチン投与前に打つ必要あり)

すべての生物製剤でアナフィラキシーショックの可能性はゼロではありません。また、頻度は低いですが、寄生虫感染のリスクが上がる可能性があります。ヌーカラとファセンラで、帯状疱疹のリスクが上がる可能性があるため、投与前に帯状疱疹ワクチンの接種が良いとされています。


生物製剤は、どういう人に向いている?

生物製剤は、『2型炎症』と呼ばれる病態の喘息に特に有効です。

2型炎症かどうかを見極める根拠は、

血液の検査(好酸球数・IgE値)
呼吸の検査(呼気中の一酸化窒素濃度)

です。

2型炎症ではない喘息には好中球性喘息があります。タバコ肺のCOPDがベースにある場合などが有名です。好中球性喘息は治療が困難なことが多いので禁煙は必須ですね。当院では禁煙外来も実施していますので咳が続く方などはお気軽にご相談ください。

 

 

愛知県名古屋市中村区本陣通2-19

内科 内視鏡内科 糖尿病内科 整形外科

ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志