運動器とは、“動く”ことに関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。つぎのような症状がある方はお気軽にご相談ください。
運動器疾患
運動器疾患
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運動器とは、“動く”ことに関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。つぎのような症状がある方はお気軽にご相談ください。
年齢を重ねることによって、脊椎を構成する椎体と、その間にあってクッションの役割を果たしている椎間板に変化が起きることをいいます。変化があまり大きくなければ無症状のことがほとんどで、その場合は病気とはいえません。しかし、椎間板の変化が進むことで、腰・背中の痛み、動きづらさなどの症状が引き起こされることがあります。また、神経根や脊髄が圧迫されて左右両方の手足に痛み・しびれ・動かしづらさが生じる「頚椎症性脊髄症」や、長い距離を続けて歩くことができないといった症状が現れる「腰部脊柱管狭窄症」などの疾患につながることもあり注意が必要です。症状がある方は早めの受診をお願いします。
ひざの関節の軟骨が摩擦などですり減ったために、ひざに強い痛みが出る慢性的な病気です。最初は歩き始めに痛みが出ても、休息すれば痛みが治まる程度ですが、基本的に年齢を重ねるごとに病状が進み、ひどくなると安静にしていても痛みが取れず、歩くことも難しくなってしまいます。原因としては、加齢のほかに、肥満、O脚、閉経後のホルモンバランスの変化などが挙げられます。女性に多いことも特徴です。筋肉維持と体重減少がとても大切ですので運動療法が有効です。痛みが強ければ、痛み止めの内服薬や関節注射などを使う場合もあります。当院では関節注射は従来のヒアルロン酸に加えて、再生医療の一種であるPRP(多血小板血漿)注入を行います。 (注)厚生労働省に特定細胞加工物製造届出書を提出したのちに開始予定です。
PRP(Platelet-Rich Plasma、多血小板血漿)とは、血小板が多量に含まれている血漿のことです。PRPは患者さん自身の血液から血小板を抽出して作製されます。PRP療法は、患者さん自身の血小板を集めて体の傷んだ部分に注入することで病気の治療に用いられます。血小板には主に「血液を固めるはたらき」と「組織の修復を促す成長因子を出すはたらき」があります。そこで、血小板を多量に含んでいるPRPを傷んでいる部分に注入することで、自分自身がもともと持っている修復力を引き出すことができる治療がPRP療法なのです。
PRP療法は患者さん自身の血液によって組織の修復を促す治療であるため、副作用が少ないことが大きなメリットです。
一方、デメリットは自由診療のため患者さんの治療費の負担が大きくなることです。また、患者さんによって治療効果に個人差がある点もPRP療法の欠点です。
(注)厚生労働省に特定細胞加工物製造届出書を提出したのちに開始予定です。
運動が身体に良いことを知らない人はいないと思いますが、これだけの効果が証明されています。まさに運動こそが真の百薬の長と言えるでしょう。「ロコモ」「フレイル」「サルコペニア」を予防できるのは運動療法だけです!
クリニック併設のメディカルクリニックで健康寿命を伸ばしましょう!
運動不足であると体力や全身持久力が低下し、身体活動量が減少します。身体活動量の減少はさらに体力や全身持久力の低下、筋力や筋持久力の低下も招きます。筋力が低下すると立つ、歩くなどの移動能力が低下し、仕事や家事などの活動機会も減少して生活の質が低下します。さらに家に閉じこもりがちとなると気持ち的にもふさぎ込みやすくなります。平成25年データでは、日本では運動不足による死亡者数は、喫煙、高血圧に次ぐ第3位でその数は年間約5万人であるということが発表されています。
「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」のことを「ロコモティブシンドローム」といいます。2007年に日本整形外科学会によって新しく提唱された概念です。略称「ロコモ」といいます。日本語では「運動器症候群」と言われます。運動と食事をおろそかにした生活習慣では、40~50代で身体が衰え初め、60代以降には移動機能が低下して、日常生活に支障をきたす可能性があります。膝や腰の痛みや不調を感じても「年のせい」だと放置しておくと、骨粗鬆症、変形性関節症、変形性脊椎症などの運動器疾患が背景にあった場合には、病状が進行して重篤化していってしまいます。
フレイルとは、「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。「虚弱」とも言われます。体重減少、疲労感、歩行速度低下、握力低下、身体活動量の低下が特徴です。高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険があります。フレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。
サルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指します。または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体機能の低下が起こること」を指します。サルコペニアという用語は、ギリシャ語で筋肉を表す「sarx (sarco:サルコ)」と喪失を表す「penia(ぺニア)」を合わせた言葉です。
骨粗鬆症とは骨の量が減ることで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。人間の骨は健康な状態を維持するため、成長期を終えても常に新しく作り替えられています。この骨の新陳代謝のバランスが崩れると骨が弱くなり、骨粗鬆症になる危険が高まります。閉経後の女性に多くみられ、日本では約1000万人以上の患者がいると推定されるが実際に治療を受けている人はまだ少ないのが現状です。そのため気づかないうちに骨折していたり、骨折から生活の質が低下したりすることもあります。女性の病気というイメージがありますが、患者の4人に1人は男性です。男性の場合、治療を行わずにいると重症化しやすく、骨粗鬆症を原因とした大きな骨(腰椎や大腿骨など)の骨折を起こすことが多いです。早い時期に正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。