その咳はただの風邪?長引く咳を早く治すためにする検査治療。
- 2020年12月22日
- 呼吸器疾患
・辛い咳
長引く咳、辛いですよね。おまけに周りから嫌な目で見られてしまうこともあります。特にコロナが流行っている今は視線が気になります。早く治したいですよね。そんな咳についての検査と治療法についてお話しします。
・急性、遷延性、慢性
咳が出だしてから3週間までを急性の咳、3週間から遷延性、8週間以上を慢性の咳と言います。3週間から慢性でいいじゃんと思った人は私と気が合いますね。
・まずは明らかな疾患を除外
結核・結核の仲間の菌・一般的な肺炎・肺癌・もともとある喘息・タバコ肺・気管支が広がっている病気・心臓が弱っている状態などですね。この辺は病歴やCTで分かることが多いですからね。逆にいうとレントゲンだけでは正直厳しいです。当院はCT完備していますよ。
・タバコ肺
余談ですけどタバコ肺は明らかな疾患扱いですよ。私の知り合いの医者は喫煙者が大嫌いで咳で来た患者さんに「タバコやめてから来いよ」と心の中で思っているそうです。厳しいですね。でも愛情の裏返しで禁煙希望の人にはめちゃくちゃ優しいです。私は昔タバコ吸っていましたからそこまで厳しくないですよ。禁煙外来やってます。
・上記の明らかな疾患がない場合
まずは非定型肺炎と言われるマイコプラズマ肺炎・百日咳・クラミジア肺炎を疑います。非定型てことは普通じゃない、つまり普通の肺炎とは違って分かりにくいってことです。症状や痰の検査、血液検査で調べます。疑わしきは罰しますので抗生剤を出します。最近承認された抗生剤の種類が増えました。また咳している間に痰が濃くなればバイ菌感染を疑い抗生剤治療をすることが推奨されるようにもなりました。
・蓄膿症
痰がひどければ蓄膿症を疑います。これも疑わしければ治療します。蓄膿から膿が喉に垂れ込む後鼻漏症候群というのが咳の原因になりますからね。抗生剤・点鼻薬・鼻炎薬を使用します。
・咳喘息
いわゆる喘息のなりかけです。数年以内に30%程度の人が本物の喘息になると言われています。ですからきちんと診断しておきたいですよね。炎症を抑える吸入ステロイドがとてもよく効きますよ。
・アトピー性咳嗽
喉の痒みを伴う咳が特徴です。慢性的な喉のアレルギーが病態なのでアレルギーを抑える飲み薬を使います。炎症を抑えるステロイド吸入薬も効きます。
・逆流性食道炎
胃酸が逆流して食道が炎症をおこす病気です。胸やけが特徴です。胃酸を抑える薬を使います。でもだらだら内服するのは要注意です。胃腸かぜの項目を見てくださいね。
・感染後咳嗽
いわゆるかぜの治りかけです。3週間以内には治ると言われています。普通に咳止めで大丈夫です。しんどければ気管支拡張剤の吸入薬を併用することがあります。
・抗生剤は安易に飲むべきではない理由
クラビットやクラリスという抗生剤、よく出されるので聞いたことある方多いと思います。これらの薬は結核や結核のお友達にも中途半端に効いてしまいます。他の抗生剤と組み合わせないと中途半端にしか効かないので治りきらずに耐性菌を作っただけで終わってしまう可能性があります。そうするとその後の治療に大変困ることになります。よく効く抗生剤くれとたまに言われますが出せない時もありますのでご理解ください。ちなみに私自身は抗生剤は老後にとってますのでなるべく飲みません。深爪して膿んでしまったぐらいでは飲みません。父親の教育のおかげですね。興味のある方は「ニコニコこどもクリニック 名古屋」で検索してください。
愛知県名古屋市中村区本陣通り2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志