エクロックゲル
- 2023年4月7日
エクロックゲル
エクロックゲル5%は、日本初の保険で処方できる原発性腋窩多汗症（わき汗）の外用薬（塗り薬）として、2020年9月に承認されました。
原発性腋窩多汗症の治療には、従来は塩化アルミニウムローションやボトックス注射などの選択肢がありました。しかし、塩化アルミニウムローションは保険での処方ができないことや、ボトックス注射は治療費が比較的高額であり、注射による痛みなどの問題点がありました。また、手術治療やプロ・バンサインの内服療法などもありますが、患者さんへの負担や全身性の副作用が発生する可能性もあり、新たな治療法の期待がありました。
エクロックゲル5%は、わきに１日１回外用するだけで、汗の量の改善が期待できる薬剤であり、副作用も重大なものがないため、多汗症でお悩みの方にとって新たな選択肢となるでしょう。
エクロックゲル5%は、日本で初めて保険が適用されるようになった、原発性腋窩多汗症（わき汗）の外用薬です。一般名称はソフピロニウム臭化物ゲルで、無色からやや黄色みがかった透明・半透明のゲル状の製剤です。2020年9月に承認されました。
作用機序
エクロックゲル5%の有効成分はソフピロニウム臭化物で、1日1回わきに塗布することで汗の量を抑える効果があります。これにより、多汗症による悩み（汗の量が多い、わきのにおいが気になる、緊張すると発汗する、衣服に汗じみができる）を緩和することができます。
エクロックゲル5%は、交感神経から出るアセチルコリンという物質がエクリン汗腺を刺激して起こる原発性腋窩多汗症を阻害し、汗の分泌を抑える効果があります。
また、エクロックゲル5%にはヒドロキシプロピルセルロース、ヘキシレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、無水クエン酸、無水エタノールといった添加物が含まれています。
原発性多汗症
多汗症には、全身的なものと局所的なものがあります。原因がわからない「原発性多汗症」というタイプがあり、その中でも腋窩（わきの下のくぼんだ箇所）において、左右対称性で日常生活に支障をきたすほど大量の汗をかく症状を指します。
診断基準によると、以下の条件に当てはまる場合に多汗症と診断されます。
・汗の量が多い原因となる病気や障害がないのに、６か月以上にわたって大量のわき汗がみられること
以下の６症状のうち２項目以上に当てはまること
・症状が最初に出るのが25歳以下であること
・左右両方で同じように発汗がみられること
・睡眠中は発汗が止まっていること
・１週間に１回以上多汗の症状がでること
・家族に同じ病気の患者さんがいること
・わき汗によって日常生活に支障をきたすこと
以上のような症状がある場合、原発性腋窩多汗症と診断されます。
患者数
厚生労働省の疫学調査によると、わき汗の症状がある人の割合は5.75%であり、発症年齢の平均は19.5歳でした。特に活発な年代の人に多く見られる疾患であり、患者さんは精神的な苦痛や恥ずかしさを感じることが多いようです。しかし、同調査によると、多汗症の症状があるにもかかわらず、医療機関を受診していない人が3人に2人もいて、医療機関の受診率は低い水準の6.3%となっています。一方で、患者さんの約半数にあたる47.8%が制汗作用のないデオドラント剤を使用していることがわかっています。
腋窩多汗症は局所多汗症の中でも頻度が高く、全体のおおよそ半数を占めるとされています。この疾患は、緊張や自律神経の乱れなどの精神的な要因や、気候や室温に関係なく、多量の汗が分泌される特徴があります。
多汗症の原因となるわきの汗は、エクリン汗腺という汗腺が関与しており、交感神経からのアセチルコリンという物質が汗腺を刺激することで多量の汗が分泌されます。エクロックゲルはこのアセチルコリンによる刺激をブロックし、過剰に出る汗を抑制します。
エクロックゲル5％の副作用について
エクロックゲル5％は一般的には副作用があまり起こりませんが、以下のような症状が現れる場合があります。
・皮膚の炎症
・顔などに赤い斑点の発疹
・かゆみ
・皮膚の湿疹
・口の渇き
もし使用を始めてからこれらの症状が現れた場合には、医師に相談してください。
エクロックゲル5％の患者さんの負担・薬価について
エクロックゲル5％の薬価（お薬の値段）は1本あたり4,874円です。健康保険を使用した場合、自己負担額が3割の場合は1,462円が患者さんの負担となります（ただし、これはお薬代のみの計算です）。現在は市販されておらず、医療機関でのみ処方されるお薬です。
ヴェルヴァーレ本陣クリニックでは初診から全国どなたでもオンライン診療でオゼンピックの処方を行なっています。薬は最短当日発送いたします。薬代のほかは着払い送料実費のみの金額となっております。エクロックゲルの処方をご希望の方はぜひ当院へご相談ください。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科 内視鏡内科 糖尿病内科 整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志