下肢閉塞性動脈硬化症は全身の病気です。血管からのSOS信号を見逃さないために。
- 2021年1月15日
- 循環器疾患
・どんな病気?
下肢閉塞性動脈硬化症は脚の血管が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりしてしまう病気です。意外と多くて65歳以上の人の3〜6%、糖尿病の人の5〜10%、心筋梗塞や脳梗塞をした人の10〜20%がなっていると言われています。しかも年間死亡率4%という地味に恐い病気です。
・原因は?
動脈硬化が原因です。ですから喫煙・糖尿病・高コレステロール・高血圧が原因ですね。男性・高齢もリスクになります。悲しいですね。
・症状は?
間欠性跛行(かんせつせいはこう)と呼ばれる症状です。しばらく歩いていると脚に痺れや痛みを感じますが、少し休んでいるとまた歩けるようになることをいいます。
sorrisoあまほり接骨院から画像引用間欠性跛行の原因にはこの閉塞性動脈硬化症の他にもう一つ腰部脊柱管狭窄症と言われる腰の神経の圧迫があります。
病気が悪化すると血流不足で傷が治りにくくなったり、最悪足先が壊死してしまうこともあります。ここまで悪化してしまうと1年で25%の人が亡くなります。
・検査は?
ABI検査と呼ばれる腕の足首の血圧の比で検査します。普通は足の方が血圧高いです。足首のの血圧が、腕の血圧の90%以下の場合下肢閉塞性動脈硬化症と診断されます。90%〜100%は境界型なので要注意ですね。100〜140%は基本正常です。140%以上は逆に血管の石灰化がひどくて測定がおかしい可能性があるので必要に応じてエコーなどで精密検査を行います。
・治療方針は?
まずこの病気は全身の血管が動脈硬化によってボロボロになっている全身の病気であるという認識が大事です。たまたま脚に症状が出ているだけです。脳や心臓、腎臓などの血管も同様に痛んでいます。ですから全身の血管の動脈硬化予防が重要です。もし吸っていればタバコをやめるのは必須です。そして動脈硬化に有効な治療といえばもちろん運動療法です。運動療法は毛細血管を増やしてくれる数少ない手軽な治療です。その上で薬物治療や外科治療を行います。
・治療方法は?
大原則は運動療法です。主には有酸素運動ですね。無理のない負荷から始めて徐々に運動量を上げていきましょう。
次に薬物療法です。症状があればまず血液サラサラの薬を使います。心臓や脳と違いプレタールが第一選択になります。血管拡張作用があり症状改善が期待できるためですね。ただ副作用で脈拍数増加がありますので心臓が悪い人は要注意ですね。あと逆に症状がない人には血液サラサラは推奨しないとなっていますのでこれも注意が必要ですね。あとはコレステロールの薬です。スタチンと呼ばれる肝臓でのコレステロール合成をブロックする薬ですね。その他にももちろん血圧コントロールや糖尿病コントロールが大切です。
・血行再建術
間欠性跛行がひどくて運動できない場合や内服治療が効果不十分な場合には血行再建術を行います。血流が悪くなった部分への血流を改善させる治療です。血行再建術はカテーテル治療を行う血管内治療と外科的なバイパス手術があります。血管が狭くなっている範囲や程度で治療法が変わりますが、血管内治療の適応が増えていってます。体への負担が少ないですからね。ニーズも多いです。
国立循環器病センターから画像引用 ・まとめ下肢閉塞性動脈硬化症はたまたま下肢に症状が出ているだけで全身の血管が動脈硬化で痛んでいる病気です。しっかりと禁煙・薬物治療そして運動療法を行いましょう。当院は全国的にも珍しいメディカルフィットネス併設クリニックです。病気のある方もそうでない方もみんなで運動頑張りましょう。私も(なるべく)がんばります!よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志