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ブログ|「ヴェルヴァーレ本陣クリニック」名古屋市中村区本陣通にある内科

突然死や脳梗塞を起こさないために失神の原因はきちんと検査しましょう。

・失神とは?

突然意識がなくなり姿勢が保てなくなってしまうものの、しばらくすると完全に元に戻ることを失神と言います。急になって、すぐに元に戻ることが失神の特徴ですね。元に戻らない場合は失神とは言いません。ですから脳卒中や低血糖なんかは失神には当てはまりません。てんかん発作も別に分類されています。

・原因は?

一時的に脳への血流が不足することが原因です。さらに3つに分けられます。

①反射性失神 

自律神経である迷走神経の反射が原因で急に血圧や脈が下がってしまい、脳に十分な血流がいかなくなる状態です。生活不規則やストレスなどが原因になると言われています。トイレの後とか、食事の後の失神もこれにあたります。生あくびが出たり失禁したりもしますね。私も若い頃たまになっていました。意外とデリケートなんですよ!

②起立性低血圧 

いわゆる立ちくらみですね。正常だと起き上がった時は脳に血流を維持するために血圧が上がるのですが、それができないために脳への血流が滞ってしまっておこります。自律神経バランスの未熟な若い人に多いですが、糖尿病やパーキンソン病があるとなりやすいと言われています。あとはもちろん血圧を下げる薬を飲んでいるとおきやすいですね。

③心原性失神

心臓になんらかの異常がおきて、心臓ポンプ可能が低下することによって脳への血流が不足して起こります。発作の際に胸がドキドキしたり締め付けられる感じがしたり、息苦しさがあると疑わしいですね。突然死のリスクが高いのはこのパターンですので最も注意が必要です。心臓の病気があったり、心電図検査などで不整脈が疑われる場合は高リスク失神と評価されます。

・治療は?

①反射性失神

自律神経バランスの乱れが原因なのでなるべくストレスを避けて、規則正しい生活を送る。

原因となる薬があれば飲むのをやめる。前立腺肥大の薬や心臓の薬などは血圧や脈を下げるので要注意。

必要に応じて血圧を上げる薬を使う。

ひどければペースメーカーを検討する。

②起立性低血圧

急に起きると血圧が下がってしまうのでゆっくり起き上がるようにする。

原因となる薬をやめる。血圧が下がる前立腺肥大の薬や心臓の薬などは要注意。

必要に応じて血圧を上げる薬を使う。

塩分・水分をしっかり摂る。

③心原性失神

心臓異常の原因に応じて治療します。必要に応じてカテーテル治療や手術を行うこともあります。

不整脈が原因である場合は発作の時の脈が遅いか早いかでまず分けます。

脈が遅い場合必要であればペースメーカーを入れて脈拍をコントロールします。

脈が早い場合除細動器や心臓カテーテル治療を検討。突然死に至る怖い不整脈が出る人は除細動器という発作時に電気ショックが流れる機械を埋め込みます。普段から不整脈が出ているタイプの人は飲み薬もありますがカテーテル治療のほうがきちんと治ります。

ところで①と②分ける必要ある?と思った人は私だけではないはず・・・。まあ原因は違いますけど、あまりに基本的な治療法が似すぎてますからね。迷走神経反射は脈が遅くなることがあるのでひどい場合はペースメーカーを入れることがあるのが特徴ですかね。

・注意が必要な失神は?

しびれや力が入らない、呂律が回らないなどの症状がある場合は要注意。一過性脳虚血発作と言われる脳梗塞の前兆の可能性があります。すぐに受診してください。すぐに血液サラサラを飲んだほうがいい場合があります。

・原因がわからない時はILR

心原性失神が疑わしい場合、以前は24時間心電図計などで検査していましたが、残念ながら分からないこともありました。普段は動悸がひどいのに検査の時だけ調子が良くて症状がないなんてこともあります。2016年から小指サイズの埋め込み型ループレコーダーILRが使用可能になりました。皮膚の下に埋め込むだけで3年間計測できます。もちろんお風呂も大丈夫で傷も目立ちません。不整脈は命に関わったり、脳梗塞になりやすかったりするのできちんと検査診断治療することが重要です。気になる方は遠慮なく相談して下さい。

愛知県名古屋市中村区本陣通2-19

内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科

ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志