糖尿病と歯周病
- 2020年3月27日
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の量が異常に高くなる病気であり、慢性的に高血糖状態が続くことで、様々な合併症を引き起こすことが知られています。近年、その中でも歯周病との関連性が注目されています。
歯周病
歯周病とは、歯と歯茎の周りにある組織に炎症が起きる病気で、歯肉炎から始まり、歯茎から歯を支える骨や歯槽膿漏といった深刻な状態に進行することがあります。歯周病は、口内環境や歯ブラシの習慣、喫煙などの要因が影響して発症しますが、最近の研究により、糖尿病との関連性が指摘されています。
糖尿病は、血糖値のコントロールが不十分な状態が続くことで、体内の免疫機能や血管の機能が低下し、感染症や循環器疾患など様々な合併症を引き起こすことが知られています。歯周病は、歯肉炎から始まり、進行すると歯周ポケットができ、歯を支える骨や組織が破壊されることで、歯が抜け落ちることになります。歯周病に感染すると、体内に細菌や炎症性物質が放出され、全身に影響を及ぼすことがあるとされています。
糖尿病と歯周病
糖尿病と歯周病の関連性については、糖尿病患者が歯周病になるリスクが高いことが報告されています。具体的には、糖尿病患者は、通常の人々に比べて、歯周病になる可能性が2〜3倍高いとされています。また、糖尿病患者が歯周病を悪化させるリスクも高くなっています。糖尿病患者は、血糖値の管理が不十分な状態が続くことで、口内の細菌バランスが崩れやすくなり、歯周病に感染しやすくなるためです。
また、歯周病が糖尿病のコントロールを悪化させることも知られています。歯周病に感染すると、体内に放出される細菌や炎症性物質が、糖尿病患者の血糖値を上昇させることが報告されています。これにより、糖尿病の合併症が進行しやすくなることが考えられます。
さらに、糖尿病と歯周病は、互いに悪化し合うことが指摘されています。糖尿病患者が歯周病を患うと、糖尿病の合併症のリスクが高くなり、逆に、歯周病を患うと、糖尿病の血糖値が上昇することで、糖尿病の合併症が悪化する可能性が高くなります。
以上のように、糖尿病と歯周病には密接な関連性があります。糖尿病患者は、口内の健康を保つことが、糖尿病の合併症を予防するためにも重要です。歯磨きやフロスの習慣をしっかりと行い、歯医者の定期検診を受けることが大切です。また、糖尿病の治療とともに、歯周病の治療も行うことで、糖尿病の合併症の進行を予防することができます。
口腔ケア
最近では、糖尿病患者の口腔ケアに着目した治療法も注目されています。口内環境を改善することで、糖尿病の合併症を予防することができるとされています。具体的には、歯ブラシやフロスを使った正しい歯磨きの習慣のほか、口腔洗浄液の使用や、口内細菌をコントロールするためのプロバイオティクスの摂取などが挙げられます。
糖尿病と歯周病の関連性は、口腔内の健康と全身の健康に密接な関係があることが示されています。糖尿病患者は、日々の口腔ケアをしっかりと行い、定期的な歯科検診を受けることで、糖尿病の合併症を予防することができます。
糖尿病と歯周病の関連
また、糖尿病と歯周病の関連性を考慮した治療が必要とされています。歯周病が進行している場合には、歯周病治療を行うことで、糖尿病の合併症のリスクを低下させることができます。歯科医師と糖尿病専門医師の協力による総合的な治療が求められます。
糖尿病と歯周病の関連性は、健康な生活習慣を維持することによって予防することができます。適度な運動やバランスの良い食事、禁煙などが、糖尿病の管理に加えて、口腔内の健康を維持するためにも重要です。
糖尿病と歯周病は、患者の生活習慣や治療法によって密接に関連しています。糖尿病患者は、口腔内の健康に注意を払い、定期的な歯科検診を受けることで、糖尿病の合併症を予防することができます。また、歯周病治療によっても糖尿病の合併症のリスクを低下させることができます。健康な生活習慣を維持することが、糖尿病と歯周病の予防につながります。
愛知県名古屋市中村区本陣通2丁目19番地
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志