お酒は飲み過ぎ注意!膵炎にならないためにもお酒は1日2合までにしましょう。
- 2021年2月2日
- 肝胆膵疾患
・膵臓とは?
膵臓は胃の後ろにあり、長さは20cmほどの細長い形をしています。
食べ物を消化する膵液を作って、十二指腸に送り出すはたらきをしています。
また、血液中の糖分の量を調節するホルモンも作っています。
・膵液とは?
胃で消化された食べ物が十二指腸に入ると、膵臓から膵液が送りだされます。膵液は、十二指腸でさまざまな栄養を分解したり、胃液で酸性になった食べ物を中和するはたらきをしています。
中外製薬から画像引用
・膵臓で作られるホルモン
膵臓のなかではグルカゴンとインスリンという血液中の糖分を調整するホルモンが作られています。グルカゴンとインスリンは血液中の糖分のバランスを保つために、協力しながらはたらいています。
①グルカゴンの働き
脂肪組織の脂肪をブドウ糖に作り変えたり、肝臓に貯えられたグリコーゲンをブドウ糖にもどしたりして、血液中の糖分を増やします。
②インスリンのはたらき
余分なブドウ糖を脂肪組織に貯えさせたり、ブドウ糖をグリコーゲンという物質に作り変えて肝臓や筋肉に貯えさせたりして、血液中の糖分を減らします。
readyforより画像引用
・急性膵炎
膵液により、膵臓自体が溶けて炎症をおこしてしまう病気です。アルコールが原因のことが多いため中年以降の男性に多いです。
・急性膵炎の症状は?
お腹のみぞおちに激しい痛みが起こります。吐き気や熱が出ることもあります。
・急性膵炎の原因は?
お酒によるものが約40パーセントを占めています。ほかには胆石によるものや、原因不明の場合もあります。
・急性膵炎検査は?
血液検査とCTなどの画像検査ですね。
血液検査ではアミラーゼの値を診断の参考にします。また血小板の数、カルシウムの値、炎症反応の数値などで重症度を判定します。
CTはできれば造影剤を使ったCT検査を行います。これも重症度の参考になります。
・急性膵炎治療は?
急性膵炎は重症化すると命に関わる怖い病気ですので基本的に入院になります。入院して安静にし、点滴をします。 炎症によって血管の中の水分が体内に逃げてしまうので膵炎の治療は点滴が基本です。
・バクテリアルトランスロケーション
トランスフォーマーみたいな名前ですね。腸内細菌が腸の中からお腹の中へとバリアを通過して移動しまう状態です。昔は食事をすると膵液が出るという理由で絶食が基本でしたが、絶食が長いとこのトランスロケーションのリスクが上がるため、現在は原則48時間以内に食事もしくは腸に管を入れての栄養剤注入を開始します。
・抗生剤
膵炎は軽症ではバイ菌感染がないため抗生剤は使いません。ただし重症の場合は上記のバクテリアルトランスロケーションが起こりうるため72時間以内の抗生剤投与が推奨されています。
・蛋白分解酵素阻害薬
昔はフサンやエフオーワイなどの膵液の働きを抑える蛋白分解酵素阻害薬を使っていましたが有用性がないことが分かり推奨されなくなりました。点滴が漏れると怖い薬でした。
・胆石治療
胆石が原因の場合は内視鏡を使って胆石を取り除く手術を行います。
・慢性膵炎
膵炎が繰り返しおきると、膵臓の細胞がこわされて硬くなっていきます。次第に膵臓のはたらきが失われていってしまいます。インスリンと膵液の分泌が悪くなるので、糖尿病と消化不良がおこります。
・慢性膵炎の症状
お腹が痛くなったり、下痢になったり、腸にガスがたまったりします。また膵臓に石ができることもあります。
・慢性膵炎の治療法
まずほとんどはアルコールが原因なので禁酒が大原則です。急激に強い症状があらわれた場合には急性膵炎と同じ治療を行います。 膵臓のはたらきが低下している場合には、消化薬やインスリン注射などを使います。 膵臓に結石ができている場合には、衝撃波で砕いたり、内視鏡で取り除いたりします。
・まとめ
急性膵炎は命に関わる怖い病気です。お酒は1日2合程度までにしておきましょう。慢性膵炎になると膵がんリスクも上がってしまいますし日々腹痛と付き合う必要が出てきて気分的にも鬱っぽくなってしまいますよ。予防できる病気はしっかり予防して健康寿命を伸ばして100年人生をエンジョイしましょう!よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志