たかが便秘?されど便秘。実は心臓病や腎臓病と関係しています。
- 2021年1月23日
- 消化管疾患
・どんな病気?
便秘とは便が出にくいことを言います。当たり前ですね。すいません。でも一応定義があって回数は週に3回未満、力まないと硬くて出ない、一気に出せずに何回かトイレに行く必要がある状態です。
・原因は?
いわゆる便秘、原発性便秘の場合は腸の機能低下が原因です。腸内細菌バランス低下も指摘されています。あとは他に病気があってその結果として便秘がおこる二次性便秘もあります。
・二次性便秘
有名どころだと大腸がん、お腹の手術後、甲状腺の病気、脊髄損傷、パーキンソン病、筋ジストロフィー、麻薬、抗精神病薬、肛門狭窄などですね。こちらはもともとの原因を治してあげる必要があります。最近痛み止めで弱い麻薬良く使われていますよ。知らずに飲んでいるかも知れません。
・心臓病や腎臓病の原因に?
便秘があると心臓病の悪化や腎臓病が増えることが分かってきました。力むことによる血圧上昇だけでは説明できないので腸内細菌が関係しているのかも知れませんね。今後の更なる研究が期待されますね。
・治療は?
とにかく大事なのはなるべく刺激性下剤を使わないことです!刺激性下剤はなるべく使わない!刺激性下剤というのはみんな大好き赤い粒のコーラックとかセンノシド、プルゼニド、ラキソベロン、アローゼンなどなどです。これらは依存性があるのでクセになり、慣れてしまって効き目が悪くなってしまいます。
まずは酸化マグネシウムが第一選択です。とにかく安いですし効果ありますからね。下に書きます新薬の1/10の値段です。ただ腎臓が悪くて使いにくい場合は他の便を柔らかくする薬を使います。それでも出にくい場合のみ数日おきに刺激性下剤を使いましょう。
・新薬
2018〜2019年に5剤新しい下剤が出てきて治療の選択肢が増えました。マグミットにこれらの薬を組み合わせてなるべく刺激性下剤を使わないようにしましょう。
アミティーザ:マグミットよりも生理的に便を柔らかくしてくれます。悪心に注意。少量から使います。妊婦不可。
モビコール:子供にも安全に使える下剤。水に溶かして飲みます。大腸カメラの前に飲む薬に近いです。浸透圧下剤。
グーフィス:胆汁再吸収をブロックします。便を柔らかくする作用に加えて腸管刺激作用もあり。ゆえに腹痛に注意。
リンゼス:腸の動きを良くしてくれる数少ない下剤。腹痛を和らげてくれる働きあり。下痢に注意。
スインプロイク:麻薬の副作用での便秘の特効薬です。トラマールやトラムセット、オキシコンチンなどを飲んでる人にはこれですね。
・SIBO
ガイドラインからは少し外れますが難治性の便秘でガスが多い方には抗生剤治療を提案させていただく場合もあります。SIBOと言われる小腸細菌異常増殖症が関係している場合が有るからです。悪玉菌を除菌することでガスが減り腹部症状が改善することがあります。
・まとめ
当院では便秘のタイプに応じて治療薬を提案させていただきます。便秘のコントロールが将来的な心臓病や腎臓病を予防します。もちろんたかが便秘と油断せずに大腸カメラ検査も受けてくださいね。大腸がんは男女ともに非常に増えております。早期発見早期治療が大切です!よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病院内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志