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ブログ|「ヴェルヴァーレ本陣クリニック」名古屋市中村区本陣通にある内科

とても増えている大腸憩室にまつわる病気。憩室炎と憩室出血。

・どんな病気?

大腸の壁にできる洞穴のような窪みのことを大腸憩室と言います。食物繊維の少ない欧米食の影響で増えていると言われています。小腸内細菌異常増殖症SIBOとの関係もあると私は思っています。理論上ガスが多いと憩室ができやすいですからね。発酵食品の少ない低FODMAP食が憩室を増やさないポイントだと思います。気になる人は私の過敏性腸症候群のコラムも見てみてください。

あんこうメディカルクリニックより画像引用

・症状は?

大腸憩室があるだけでは無症状です。しかし便が蓋をすることで密閉空間となりそこにバイ菌が繁殖すると大腸憩室炎という炎症をおこすことがあります。また憩室の中は筋肉の層が薄いために血管が露出しやすくなっており出血することがあります。これを大腸憩室出血と言います。

・大腸憩室炎

大腸憩室が炎症をおこす病気です。お腹が痛くなります。肥満、喫煙、アルコールがリスクと言われています。場所によっては盲腸と紛らわしいこともありますがCT検査で診断できます。日本では原則抗生剤加療を行いますが、ヨーロッパガイドラインでは膿が溜まったり腸が破れたりしない限りは抗生剤は投与しないことが推奨されています。しかし膿が溜まっていないことを判断するのはなかなか難しいので、現実的には抗生剤を投与することになるでしょうね。頻度は低いですが腸が破れてしまったら緊急手術が必要です。

あんこうメディカルクリニックより画像引用

・大腸憩室出血

大腸憩室からの出血です。腹痛なく真っ赤な血が肛門から出るのでびっくりします。高齢者が増えて血液サラサラの薬を飲んでいる方が増えているので憩室出血も増えております。痛み止めもリスクになると言われています。造影剤を使ったCT検査でほぼ分かります。血流が多いところが造影剤で白く染まりますからね。治療は内視鏡治療です。ただ憩室はたくさんあることが多いので内視鏡検査の時に出血していないとどこから出ているのかわからない時がよくあります。大腸憩室出血は自然と9割方治りますからね。ただどうにもならない場合には血管カテーテル治療や外科手術が必要になる場合もあります。

にしむら内科クリニックより画像引用

EBL内視鏡的バンド結紮術

大腸憩室出血に対して従来はクリップで出血部位を挟んで止血したり、止血剤注射で止血したりしていました。しかし残念ながら再出血が30%程度もありました。そこで最近EBL(内視鏡的バンド結紮術)とよばれる治療が出てきており再発率10%程度に改善しております。これは憩室を吸引反転させて憩室丸ごとバンドで結紮するやり方です。当院でも可能ですので憩室出血でお困りの方は気軽にご相談ください。欠点は炎症などで憩室が硬い場合は反転ができないため実施不可なことと、憩室が多くあり隣の憩室との距離がないと実施不可なことですね。そういった場合は従来通りの止血を行います。

・まとめ

高齢化に伴い大腸憩室は増えており、それに伴い大腸憩室炎や出血も増えております。共に再発しやすい病気ですので腹痛や下血があった方は気軽に相談してください。

当院では苦痛の少ない大腸カメラを心がけております。体格や手術歴などに応じて使い分けるために2種類の大腸カメラを用意しております。送気は空気ではなく二酸化炭素ガスを使っていますのでお腹の張りも少ないです。痛みに敏感な方にはマイケルジャクソンも愛用しすぎた麻酔薬を適切に使って寝てもらうこともできます。よろしくお願いします。

 

愛知県名古屋市中村区本陣通2-19

内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科

ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志