サイレントキラー大動脈瘤に殺されないために気をつけること
- 2021年1月12日
- 循環器疾患
・どんな病気?
大動脈とは心臓から直接つながる血管のことをいいます。人間の体のメインの血管で一番太い血管です。
大阪大学より画像引用
大動脈瘤とはその大動脈が一部分だけコブ状に膨れる病気です。
大阪大学より画像引用
・症状は?
基本的には症状はありません。逆に痛みが出だしたら危険です。破れそうになっている可能性があります。破れたら大出血となり即座に命に関わります。
・原因は?
ほとんどは動脈硬化が原因となりますので、高血圧・脂質異常がベースにあります。他には血管の炎症を引き起こす病気やバイ菌感染を伴うもの、生まれつきなりやすいマルファン症候群などがあります。昔は梅毒絡みもありましたが最近は減っています。
・検査は?
CT検査です。造影剤を使うとよりはっきりと分かりますね。
・治療は?
喫煙やタバコ肺は破裂しやすくなると言われているので禁煙は必須です。
血圧コントロールが大事ですが心拍出量を下げる必要があるので、脈をゆっくりにするβブロッカーがメインとなります。それに他の薬を組み合わせます。
コブの大きさが55ミリを超える場合や半年に5ミリ以上大きくなっている場合、感染をおこしている場合、症状がある場合などは外科治療が必要となります。
・外科治療とは?
標準治療は手術でコブの部分の血管を切りとって、人工血管にかえる手術です。人工心肺を使っての手術になるので体に負担はかかりますが場所に関係なく治すことが可能です。
最近は体を切らずにカテーテル治療で治せるステントグラフト術が体への負担も少ないため増えてきています。ステントと呼ばれる筒を血管の中に置くことで、コブへの血流を遮断する治療です。しかし近くに大事な血管がある場合などコブの場所によってはできないこともあります。
京都大学より画像引用
大動脈瘤は自覚症状のないまま少しずつ大きくなり、症状が出て破れてしまうと即座に命に関わります。それでサイレントキラー(沈黙の殺し屋)と言われます。私も昔当直で大動脈瘤切迫破裂の人が来て、すぐに心臓外科医を呼んだのですが、オペ前に破裂して心肺停止状態になった怖い経験があります。そうならないためにも動脈硬化予防の運動・薬物治療と定期的なCT検査をお願いしますね。レントゲン検査ではお腹の大動脈瘤はわかりません。当院はクリニックながらCT完備していますよ。よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志