心房細動と言われたら脳梗塞にならないためにきちんと予防しましょう。
- 2021年1月7日
- 循環器疾患
・どんな病気?
心房細動は左房から不規則な電気信号が出てしまう不整脈のことです。心臓が不規則に収縮するようになり、その結果心臓のポンプ機能が低下してしまいます。また左房内の血液の流れがよどんでしまうので血栓という血の塊ができやすくなります。それが飛ぶことにより脳梗塞や腸管壊死などを引き起こす原因になってしまいます。
心房細動ナビより画像引用
・心臓の電気信号
正常の心臓の電気信号は
同結節→房室結節→心室
と規則正しく伝わります。
心房細動の場合は
左房→房室結節→心室
とバラバラに電気信号が伝わります。
・症状は?
動悸が主な症状となります。心房細動は短時間だけおきて元に戻る発作性心房細動と長時間続く持続性心房細動とに大きく分かれます。持続性になると無症状のことも多くなります。
・原因は?
発症リスクが高くなるものとして肥満・高血圧・甲状腺機能亢進症・睡眠時無呼吸症候群・アルコール多飲などがあります。肥大型心筋症や拡張型心筋症などの心臓病や、心臓の弁の異常などもリスクになります。
・検査は?
心電図です。たまにしか発作が出ない人の場合は24時間以上使えるホルター心電図を使います。
・治療は?
3つの目的があります
①血栓予防
血栓ができるのを防いで脳梗塞などを予防します。とても大切です。
②レートコントロール
心房細動はそのままに脈拍数をコントロールします。心臓の負担を減らして自覚症状も改善します。
③リズムコントロール
心房細動から正常な脈に戻す。これがもちろんベストなんですが時間が経っていたりするとできない場合もあります。
・治療方法は?
①血栓予防
CHADS2スコアと呼ばれるスコアでリスクを計算します。心不全・高血圧・年齢75歳以上・糖尿病・脳梗塞の5項目で評価します。心房細動があってこのスコアが1点でもあれば血液サラサラの薬が推奨されます。昔はワーファリンしか薬がなく食べ物や薬の飲み合わせが大変だったり、血液検査で薬の効きを毎月検査する必要があったりと大変でした。肉・納豆・クロレラのようなビタミンKはダメでしたね。今はいい薬が出たので便利になりました。食べ物気にしなくていいし、血液検査も不要ですからね。ただ今でも心臓弁膜症の手術後の場合は原則ワーファリンです。
②レート(脈拍数)コントロール
薬で脈拍数をコントロールします。WPW症候群のような副電導路があるか否か、心不全症状があるか否か、これで薬を使い分けます。目標心拍数は110回以下です。
③リズムコントロール
不整脈を元の正常な脈に戻す治療です。昔は薬や電気ショックがメインでしたが、最近はカテーテルアブレーションと言われる治療が第一選択になってきております。カテーテルを使って異常な電気信号が発生している部分を焼いてしまう治療です。再発リスクが薬よりも少なく、心臓のポンプ機能の改善が期待できる点が評価されています。ただ心房細動になってから時間が経っていたり、動悸や息切れなどの症状がない場合には治療効果に乏しい場合もあります。
高齢者が増えるとともに心房細動の患者さんはとても増えています。当院では必要であれば専門病院へ紹介させていただきますので気になる方は気軽に相談してください。よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志