拡張型心筋症とつきあっていくためにするべきこと
- 2021年1月7日
- 循環器疾患
・どんな病気?
心臓が大きく拡張してしまいポンプ機能がダメになってしまう病気です。収縮する力が弱くなってしまいます。いろんな病気の結果としてもなりますので患者さんの数はとても増えています。
日本心臓財団より画像引用
・症状は?
一般的な心不全と同じく動悸や息切れです。はじめは運動した時などに起こりますが、進行すると安静にしている時にも起こるようになります。
・原因は?
特発性と言われる原因不明の場合は明らかな原因は分かっておりません。ウイルス感染や免疫バランスが崩れて起こる可能性が指摘されています。多くは他の病気の結果として二次的におきています。
・検査は?
心電図は特別な異常が出ないことも多いですが、病気が進行すると不整脈を合併することもあるので注意が必要です。
血液検査ではBNPやNT-proBNPという項目が診断や重症度判定、治療効果判定に使われます。
心エコーで心室と呼ばれる心臓の部屋が拡大していることと、収縮力の低下を認めます。
造影剤を使ったMRI検査で心臓の状態を評価したり、重症度を判定したりします。
他の病気と区別するために心臓の組織を直接とってくる生検検査が行われることもあります。
・診断は?
上記の検査で心室の拡張と収縮力低下があることを確認して、他の病気がないことを確認します。他の病気には心筋梗塞、自己免疫疾患、アルコール、金属、薬物、甲状腺、糖尿病、先天異常、高血圧症、心臓の弁の異常、不整脈などなどです。これらの病気があれば同時にその治療も行います。
・治療は?
拡張型心筋症に特別な治療というのはないので一般的な心不全の治療を行います。血圧管理や脈拍の管理などを行なっていきます。最近出たエンレストという薬は使ってみて手応えありです。心不全コントロールが良くなる方が多いです。
左室の容積が大きくなることによって僧帽弁と呼ばれる左室と左房の間の弁の機能が低下することがあるのでひどい場合には手術を行う場合があります。昔は外科手術を行う必要がありましたが最近はカテーテルでの治療も可能になってきました。
心房細動と呼ばれる不整脈が起こることがあるのでカテーテル治療を行ったり、血の固まりができるのを予防するために血液サラサラの薬を飲んだりします。
拡張型心筋症も不整脈による突然死のリスクが上がるため、リスクが高い場合には除細動器と呼ばれる必要な時に電気ショックを自動で行う機械を埋め込む場合があります。最近は皮下に埋め込むだけのタイプも出てきており安全性改善が期待されています。
もちろん拡張型心筋症にも運動療法は有効です。こちらはクラス1、エビデンスレベルAでの推奨です。必須といえるレベルです!メディカルフィットネスで一緒に頑張りましょう!
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志