糖尿病の食事療法と運動療法
- 2020年3月27日
糖尿病は、血液中のグルコースが高い状態が持続する疾患です。そのため、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善が治療に重要な役割を果たします。本稿では、糖尿病患者の食事療法と運動療法について説明します。
食事療法
糖尿病患者の食事療法は、血糖値の上昇を抑えることが目的です。そのため、炭水化物の摂取量や種類を制限し、食物繊維やタンパク質の摂取を増やすことが重要です。
具体的には、以下のような食生活が推奨されます。
・炭水化物は糖質制限が必要 炭水化物は血糖値を上昇させるため、摂取量や種類に注意が必要です。主食は玄米、全粒粉パン、全粒粉麺など、食物繊維を多く含むものを選びましょう。また、炭水化物を食べる場合は、食物の量やタイミングを調整することが大切です。
・食物繊維を摂取する 食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにするため、積極的に摂取することが推奨されます。野菜、果物、豆類、海藻などに含まれるので、バランスよく食べるようにしましょう。
・タンパク質を摂取する タンパク質は、糖質に比べて血糖値の上昇が緩やかなため、糖尿病患者にとっても重要な栄養素です。魚、肉、大豆製品、乳製品などに含まれるため、バランスよく食べるようにしましょう。
・油脂の摂り過ぎに注意する 油脂はエネルギー源にはなりますが、過剰な摂取は肥満や動脈硬化のリスクを高めます。バターやマーガリン、揚げ物などは控えめにし、オリーブオイルやアボカド、ナッツなどの健康的な油を選ぶようにしましょう。
・食事の量やタイミングに気をつける 糖尿病患者は、食事の量やタイミングを調整することが大切です。一度に大量の食事をすると、血糖値の上昇を引き起こすことがあるため、少しずつ食べるようにしましょう。また、食後に運動すると血糖値の上昇を抑えることができます。
運動療法
糖尿病患者の運動療法は、血糖値を下げることが目的です。運動によって筋肉が使われると、グルコースがエネルギーとして使われるため、血糖値を下げる効果があります。また、運動によって筋肉量が増え、基礎代謝が上がるため、体重管理にも役立ちます。
ただし、糖尿病患者の運動は、以下の点に注意する必要があります。
・医師と相談する 運動療法は、血糖値のコントロールや健康維持には効果的ですが、運動によって血糖値が下がりすぎて低血糖症に陥ることがあります。そのため、医師と相談して、運動量や方法を決定するようにしましょう。
・適度な運動を心がける 運動は、血糖値の上昇を抑える効果があるため、日常生活でも積極的に取り入れるようにしましょう。ただし、激しい運動や長時間の運動は、低血糖症を引き起こすことがあります。適度な運動を心がけ、体調や血糖値の状態に合わせて調整するようにしましょう。
・運動前後に食事を摂る 運動前には、糖質を含む食事を摂ることで、低血糖症を予防することができます。また、運動後には、タンパク質を含む食事を摂ることで、筋肉の修復や増強に役立ちます。
まとめ
以上のように、糖尿病患者の食事療法と運動療法は、血糖値のコントロールには欠かせないものです。しかし、糖尿病患者にとっては、自己管理が重要となります。日常生活での食事や運動の管理に加え、血糖値のモニタリングも必要です。
血糖値の測定は、自己血糖測定器を用いることが一般的です。血糖値は、朝食前、食後2時間後、就寝前など、適切なタイミングで測定するようにしましょう。また、測定結果を記録することで、日々の血糖値の変化を把握することができます。
糖尿病患者は、自己管理をしっかり行い、医師の指示に従いながら、健康的な生活を送ることが大切です。食事や運動の改善に加え、禁煙やストレス管理など、健康維持につながる生活習慣を身につけるようにしましょう。正しい知識と行動で、糖尿病の予防や合併症のリスクを減らし、健康な生活を送ることができます。
愛知県名古屋市中村区本陣通2丁目19番地
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志