肝がんももれなく早期発見早期治療が大事です。超ハイリスクであれば3ヶ月ごとに検査しましょう。
- 2021年1月31日
- 肝胆膵疾患
・どんな病気?
肝臓にできるがんのことをまとめて肝がんと言います。正確には肝臓の細胞からできる肝細胞がんと胆管からできる胆管細胞がんとがあります。95%は肝細胞がんなのでここでは肝細胞がんについてお話しします。死亡ランキング第5位のがんです。
・原因は?
慢性的な肝炎とその結果の肝硬変が原因です。何も基礎疾患がないきれいな肝臓にがんができることはほとんどないです。ですのでB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、NASHのような脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などが原因となります。
・症状は?
がんそのもの症状はまずありません。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるほど再生能力が高く、また1kg〜1.5kgもある大きな臓器ですので5cm程度のがんができたぐらいでは特別な症状は出ません。もちろん大きくなって血管や胆管が詰まれば黄疸や浮腫などが出てきますけどね。
・診断は?
まずエコーと血液検査の腫瘍マーカーで引っかけます。エコーで怪しい影が見えたり、AFP(エーエフピー)やPIVKA-II(ピブカツー)などの腫瘍マーカーが上がっていれば造影剤を使ったCTやMRIなどで精密検査をします。特徴的な画像が見つかれば診断確定です。悩ましい場合はEOB-MRIという特殊なMRI検査を行います。正常な肝細胞には取り込まれがん細胞には取り込まれない性質を持つ造影剤を使ってのMRI検査です。
・治療は?
肝硬変の程度、がんの遠隔転移の有無、がんの数、がんの大きさなどで決まります。
大阪赤十字病院から画像引用
①肝硬変が末期→肝移植や緩和ケア
↓
②肺など遠くに転移がある→抗がん剤
↓
③左右どちらかだけでサイズが大きい→手術
↓
④数が多い→カテーテル治療(TACE)
↓
⑤数が3個までだが大きさ3cm以上→手術
↓
⑥数が3個までで大きさ3cm以下→針を刺して熱で焼く(ラジオ波焼灼療法)
・TACE
肝動脈化学塞栓療法の略語です。カテーテルの先端からがんへピンポイントで抗がん剤を注入し、その後がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを兵糧攻めにする治療法です。
国立がん研究センターから画像引用
・ラジオ波焼灼療法 RFA
体の外から特殊な針をがんに直接刺し、通電してその針の先端部分に高熱を発生させることで、局所的にがんを焼いて死滅させる治療法です。
原三信病院から画像引用
・まとめ
肝がんも早期発見早期治療がとても大切です。治療のまとめにも書きましたが小さいサイズで見つけられれば外科手術をすることなくラジオ波焼灼療法で比較的簡単に治療できます。ガイドラインでも肝硬変があれば肝がんハイリスクとして半年ごと、肝硬変の原因がB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎であれば超ハイリスクとして3ヶ月ごとのエコー検査と血液検査が推奨されています。当院でももちろん検査できますので一緒に早期発見早期治療に努めましょう!よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志