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ブログ|「ヴェルヴァーレ本陣クリニック」名古屋市中村区本陣通にある内科

肝臓・肝炎・肝硬変。スッキリ整理しておきましょう。

・肝臓って?

肝臓とは右肋骨の下にある最大の臓器です。重さ1キロ以上ありますよ。はじめの一歩で一歩君がよく狙うところです。左ボディですね。気になる方は「はじめの一歩 ボディブロー」で検索してみてください。

・どんな働き?

肝臓は大きな工場でありつつ消化液である胆汁を垂れ流しています。

①製造工場(代謝)

3大栄養素である炭水化物・脂質・タンパク質を材料にして体に必要なものをいろいろつくります。グリコーゲンやコレステロール、アミノ酸、血を止める成分なども肝臓で作られています。

②ゴミ処理場(解毒)

アルコールや薬の成分、アンモニアなどの有害物質、老廃物などを分解します。

③胆汁分泌

脂肪の消化吸収に必要な胆汁を作ります。胆汁はコゲ茶色をしています。ウンコ色です。ウンコが茶色いのは胆汁のせいですから当然ですね。

・肝炎と肝硬変

肝炎は肝臓の炎症のことです。原因としては肝炎ウイルスの感染、アルコールの摂取、脂肪肝など、様々な原因で起こります。軽い肝炎の場合あまり症状を認めません。肝臓は沈黙の臓器とも言われ、とても丈夫で再生能力が高いために少し傷ついただけでは悲鳴をあげません。しかし炎症が10年や20年と長く続くとさすがに肝機能が低下します。そして再生能力がなくなるとコラーゲンによる繊維化が進み肝硬変になってしまいます。肝硬変とはその名のとおり繊維化が進んで硬く凸凹になってしまった肝臓です。残念ながら肝硬変になってしまうともう元には戻りません。

・症状は?

軽い肝炎では皮膚のかゆみを伴うことがあるぐらいで症状がないことも多いです。しかし炎症が強いとなんとなくしんどい感じがします。ASTALT100超えてくるとさすがにしんどいと思います。C型肝炎がベースにあってお酒をよく飲む方なんかはC型肝炎が治ったあとはめちゃくちゃ楽になったって言ってくれますからね。

肝硬変は、肝臓の働きがある程度保たれている時と本気でダメになっている末期の2つに分けられます。専門用語で代償性肝硬変と非代償性肝硬変と言います。

肝機能が悪化しアルブミンというタンパク質を十分に作ることができなくなると、血液が薄くなり、血管の外へ水分がもれるようになります。この結果、腹水がたまったり手足がむくんだりするようになります。

またアンモニアなどの毒素の分解ができなくなるため、血液中にアンモニアが増えて意識状態が悪くなります。これが肝性(アンモニア)脳症です。おかしなことを言うようになったり、羽ばたき振戦と言われる手の震えがみられることがあります。

胆管への胆汁の分泌ができなくなり代わりに血液の中に溶けるようになるため黄疸が出現することもあります。

また肝臓への血液の流れが悪くなるために、代わりに脾臓や食道や胃への血流が増えます。無理に増えてキャパオーバーになると静脈のコブができてしまいます。静脈の瘤は脆いので破れて出血しやすく、何かのきっかけで大量に出血して吐血の原因となります。

・検査は?

血液検査と肝臓エコーです。

まず肝炎の場合AST(GOT)ALT(GPT)γGTPをチェックします。ASTALTは肝細胞に多く含まれており、肝炎で肝細胞が壊れると数値が上がります。ただしASTは筋肉にも多く含まれているのでASTのみ高い場合は筋トレ後のような筋破壊の可能性もあります。γGTPは肝細胞や胆汁の通り道である胆管に多く含まれており、これも肝炎の指標となります。

逆に肝硬変になってしまうと肝細胞の数が少なくなるためASTALTは低い数値になります。肝臓で作られるアルブミンやコリンエステラーゼ、フィブリノゲンも低くなります。また肝臓に流れる血液が減るために、脾臓に流れる血液が多くなります。脾臓では赤血球、白血球、血小板が壊されるためこれらの数値も低くなります。

エコーでは肝炎の場合は全体に丸みを帯びた肝臓になり、肝硬変になると表面が凸凹しているのが分かるようになります。

・まとめ

今回は肝臓の基本についてお話ししました。当院では血液検査とエコー検査で肝臓のチェックが可能です。気になる方は気軽に相談してください。よろしくお願いします。

 

愛知県名古屋市中村区本陣通2-19

内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科

ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志