胃がんにならないためにはとにかくピロリ菌胃炎のチェックから!
- 2021年1月23日
- 消化管疾患
・どんな病気?
ピロリ菌感染胃炎とはヘリコバクターピロリ菌に感染して慢性的な胃の炎症がある状態のことです。その結果、胃十二指腸潰瘍や胃がんだけではなく、リンパ腫や血小板減少、慢性じんましんなどの原因となることが分かっています。
・ヘリコバクターピロリ菌とは?
1982年と比較的最近に発見されたバイ菌です。昔は胃酸の中では細菌は生きられないと考えられておりました。しかしピロリ菌は自分の周りにアンモニアを作り出して酸を中和して生きていたのです。発見したオーストラリアの医師は自ら培養したピロリ菌を飲んで胃炎が起こることを証明しました。すごいですね!私にはとても真似できません。2005年にノーベル賞をとっています。さすがです。
・どうやってうつるの?
胃酸分泌が未熟な幼少期にうつると言われています。昔は井戸水などからの感染が多かったと言われています。最近は親から子への口移しですね。年々感染率は減っていますが若い人でもまだ10%程度はいますし、50歳以上では半分近くの人がピロリ菌に感染しています。
・症状は?
ピロリ菌感染胃炎だけでは無症状の人も多くいます。もちろん胃炎がひどかったり潰瘍ができていれば胃部不快感がでます。
・検査方法は?
まずは内視鏡検査です。ピロリ菌がいそうかいなさそうか判断します。私ぐらいになると食道から胃の入口を見るだけでほぼ分かります。達人になると顔で分かると言いますがこれはさすがにジョークでしょう。
・ピロリ菌がいそうな胃の所見
a.黄色い点 キサントーマ
b.ひだが太い 肥厚性胃炎
c.赤い点々 斑状発赤
d.ブツブツ 鳥肌胃炎 スキルス癌リスク
e.でこぼこ 腸上皮化生
・ピロリ菌がいなさそうな胃の所見
a.きれい RAC+
b.きれいなポリープ 胃底腺ポリープ
c.赤い線 線状発赤
d.赤い窪み たこいぼびらん
e.なめらか 青い色は着色しています
・ピロリ菌検査
内視鏡検査の次にピロリ菌そのものの検査をします。いろいろあるのですが手軽さと検査精度から血液検査が多く使われます。ピロリ菌抗体検査ですね。注意点は2つあります。①グレーゾーンがある②すぐには消えない。
①グレーゾーンがある
昔は抗体価が10から陽性でしたが、10以下でもピロリ菌がいる可能性はあります。こうやって本当はいるのにいないと言われるのをニセの陰性、偽陰性と言います。特に胃薬を飲んでいたりすると実際より抗体値が下がってしまうことがあります。今は抗体価3から陽性と厳しくなったので改善されていますが、昔いないと言われてそのままの人は要注意です。
②すぐには消えない
ピロリ菌除菌しても抗体価はすぐには消えません。そのままです。そのため除菌に成功しているのに失敗したと説明されている人がいます。血液検査は除菌できたかの検査には向いていません。
・治療法は?
抗生剤2種類と胃酸を抑える薬1種類を1週間飲みます。1回の治療で90%、2回の治療で99%成功します。それでもダメだった場合には保険は効きませんが自費で治療できます。相談して下さい。1万円ぐらいかかりますけど胃がんリスクを考えると絶対に除菌するべきです。またペニシリンアレルギーのある方は他所では除菌できないと言われるかもしれませんが大丈夫です。こちらも相談してください。ペニシリン無しでも治療できます。
・除菌できた?
治療薬を飲んで1ヶ月後ぐらいにピロリ菌が消えたかどうかの判断をします。尿素呼気試験と言われる薬を飲んでから息を吹きかけて尿素を測定する検査を行います。便でも検査できますよ。これで問題なければ無事除菌成功です!胃がんリスクがかなり減ります!でも定期的には胃カメラ受けてくださいね。残念ながらリスク0になるわけではありません。
当院では富士フイルム最新式の経鼻内視鏡を用意しております。LCIと呼ばれる画像強調でピロリ感染胃炎を見逃しません!胃カメラが苦手な人にはマイケルジャクソンも愛用しすぎた麻酔薬を適切に使って寝てもらうこともできますよ。気軽に相談してくださいね。よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡検査・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志