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ブログ|「ヴェルヴァーレ本陣クリニック」名古屋市中村区本陣通にある内科

胃食道逆流症があっても胃酸を抑える薬はほどほどに。

・どんな病気?

胃食道逆流症はGERD(ガード)とも言われます。食べ物を消化する胃液が胃から食道へと逆流することでさまざまな症状をおこしてしまう病気です。胃は胃酸への防御システムがありますが、食道にはないので胃酸が逆流するとダメージを受けてしまいます。

・症状は?

胸焼けや呑酸(どんさん。酸っぱいものが込み上げる。)が主ですが、胸の痛み、咳、喘息、睡眠障害などが出ることもあります。

・原因は?

加齢による胃の入り口が緩くなったり、きついベルトなどで胃の圧が上がったり、アルコールや過食で胃酸が増えたり、食べてすぐに横になったりと色々あります。

・検査は?

胃カメラです。食道と胃のつなぎ目を見て判断します。ロサンゼルス分類というのがあり程度に応じてADまで分かれています。Dが一番悪いです。ただこの分類と症状の強さは必ずしも比例しません。逆に内視鏡で見て異常がなくても症状がある場合があり、非びらん性胃食道逆流症と言われます。

・バレット食道

胃食道逆流症が繰り返し起こると正常な食道が胃酸にやられてしまいバレット食道というものに置き換わります。欧米ではここから発生する食道癌が多いため日本でも将来的に増えることが懸念されていましたが今のところはそれほどでもないそうです。日本人はピロリ菌に感染している率が高いからと考えられています。ピロリ菌に感染していると胃酸分泌が減りますからね。若い人はピロリ菌罹患率減ってますから将来的にはやはりこのバレット食道がんが増えるかもしれませんね。

・治療は?

原則はPPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる胃酸を抑える薬が第一選択です。最近は大塚・武田薬品からタケキャブというより効き目の早い薬も出ていますがジェネリックがなくて少し高価なのが欠点です。補助的に胃の動きを良くする薬ガスモチンや六君子湯などを使います。下痢などでPPIが使えない人にはH2ブロッカーと呼ばれるガスターなどを使います。高齢者にはせん妄リスクがあり注意が必要です。

・胃酸を抑える薬の副作用

①下痢

とても多いです。治らない下痢のある方はまず飲んでないかチェックします。やめることで下痢が治まる方は多くいます。

②ビタミンや鉄の吸収障害

ビタミンや鉄の吸収には胃酸が利用されています。むやみに胃酸を抑えると利用障害がおきてしまうことが懸念されます。ビタミン不足が原因で認知症リスクが上がることも懸念されています。

③殺菌・消毒作用低下

胃酸は外から入ってきたバイ菌やウイルスを殺してくれます。それが弱まることで胃腸炎や誤嚥性肺炎などの感染リスクが上がることが報告されています。

④食欲低下

胃酸が減ると当然ですが消化能力が落ちるため食欲が落ちてしまいます。食欲の低下した高齢者の方は薬を見直してみてもいいかもしれません。

⑤腸内細菌叢の乱れ

胃酸を抑えることで十二指腸や小腸の腸内細菌叢が乱れてしまうことが懸念されています。腸内細菌叢が乱れるとSIBOと呼ばれる小腸内細菌異常増殖症のがおきてしまい難治性の腹痛や不快感の原因となることがあります。

胃酸を抑える薬は血液サラサラの薬とセットになっていたりするためとても多くの方が飲んでいます。必要がない場合はできるだけ飲まない方がいいので気になる方は気軽に相談してください。よろしくお願いします。

 

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ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志