若い人でも下痢が続けば潰瘍性大腸炎の可能性あり。大腸カメラを受けましょう!
- 2021年1月25日
- 消化管疾患
・どんな病気?
潰瘍性大腸炎は大腸に炎症がおきる病気で難病指定されています。炎症がおきてびらんや潰瘍を作ったりします。浅い傷をびらん、深い傷を潰瘍と呼びます。30歳以下の成人に多いですが、子供や50歳以上の人にもみられます。年々増え続け患者さんの数は20万人を超えています。男女差はありません。喫煙者の方が発症しにくいといわれています。私が知る限り唯一の喫煙のメリットですね。
・症状は?
下痢・腹痛・血便です。重症になると熱が出たり、体重が減ったりします。
・原因は?
原因は分かっていません。腸内細菌の関与や免疫バランスの異常などが考えられていますがはっきりとは分かっていません。家族内発症も認められていますが特定の遺伝子異常は見つかっておらず遺伝するかも不明です。
・検査診断は?
大腸カメラです。大腸カメラで潰瘍性大腸炎特有の所見があり、組織をとってきて顕微鏡検査を行い矛盾がなければ診断となります。バイ菌感染での腸炎や薬の副作用での腸炎、放射線治療副作用での腸炎、血の流れが悪くなる虚血での腸炎などとの区別が必要です。
エンタイビオ.jpより画像引用
・治療は?
潰瘍性大腸炎は付き合っていかなくてはいけない病気です。寛解と言われる症状がない状態を長く保つことが治療の目標です。
・治療薬
①5ASA製剤
ペンタサやアサコールなどの薬になります。まずはこの5ASA製剤が基本になります。炎症を抑える効果のある飲み薬比較的安価です。予防にも効果があります。
②ステロイド
強力に炎症を抑える働きがあります。しかし長期間使うと様々な副作用が出てくるため注意が必要です。免疫力低下・骨粗鬆症・血糖値上昇・不眠・過食・肥満・メンタルヘルス・白内障・緑内障・高血圧・脳梗塞などなどです。できれば症状が悪くなった時に短期間のみ使うのが理想ですね。
③免疫抑制剤
ステロイドは効くけど減らすと悪化してしまう方やそもそもステロイドが効かない方などに使います。イムランやプログラフなどですね。最近イムランやロイケリンを飲む方に遺伝子検査が保険適応になりました。NUDT15コドン139遺伝子多型を調べることで血球減少と脱毛リスクが分かります。
④バイオ製剤
生物学的製剤とも言われる薬です。従来の化学化合物ではなく生きた細胞を使って作られる薬です。潰瘍性大腸炎の場合は炎症を引き起こす物質であるTNFα(腫瘍壊死因子α)などをターゲットとした薬が使われます。炎症物質をピンポイントにターゲットにしているのでめちゃくちゃ効きますが、お値段がめちゃくちゃ高いです。レミケードにはジェネリック出ましたけどそれでもまだ高いです。薬代だけで月12万円とかします、、、。困りますね。幸い潰瘍性大腸炎は難病指定されていますので難病医療費助成制度を使いましょう。
・血球成分除去と外科治療
残念ながらお薬でどうにも良くならない場合には血液透析で白血球を除去したり、外科手術が必要となる場合もあります。
・B型肝炎、結核、非定型肺炎抗酸菌症
潰瘍性大腸炎の治療はステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤が使われます。免疫力が落ちてくると今までおとなしくしていたウイルスやバイ菌が悪さをすることがあります。ですからこれらのウイルスやバイ菌がいないかの検査が必要となります。もしいた場合は予防治療が必要となる場合がありますのでご相談下さい。
・まとめ
私の感覚としても潰瘍性大腸炎すごく増えています。毎日下痢や腹痛があると辛いですよね。潰瘍性大腸炎はきちんと治療すればかなり寛解まで持っていけるようになりました。若い人でもなりうる病気ですので、下痢・腹痛の症状が続く場合にはぜひ大腸カメラ検査を受けてください。また既に潰瘍性大腸炎と診断されている方は残念ながら大腸がんリスクが高いので定期的に大腸カメラ検査を受けるようにしてください。
当院では体格や手術歴などに応じて使い分けるために2種類の大腸カメラを用意しております。送気は空気ではなく二酸化炭素ガスを使っていますのでお腹の張りも少ないです。痛みに敏感な方にはマイケルジャクソンも愛用しすぎた麻酔薬を適切に使って寝てもらうこともできます。よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志