高血圧の予防に大事なのは減塩よりもまずはダイエットとフィットネス!
- 2020年12月29日
- 循環器疾患
・どんな病気?
その名のとおり血圧が高い状態です。血圧が高いとダイレクトに血管を痛めてしまうために動脈硬化が進んでしまいます。動脈硬化は脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、腎臓病などのリスクが上がってしまいます。上の血圧が130台で大したことなくて大きな病気がない方でも、男性・65歳以上・喫煙しているのいずれかに当てはまるだけで、脳心血管病のリスクが上がってしまいます。男はつらいよですね。悲しい・・・。
・正しい測定法
家庭血圧が大事なので家庭で測りましょう。朝一番、トイレの後に、薬を飲む前に血圧を測りましょう。クリニックなどで急かされて測る血圧はあまり参考になりません。落ち着ける家で測ってください。圧のかかるカフは心臓と同じ高さで測りますよ。手首で測る時は要注意ですね。
・正常値は?
120/80以下です。110台/70台です。大事なのでもう一度言います。120/80以下です。110台/70台ならOKです。120台/80台以上は正常ではなく高めです。140/90以上が高血圧の定義です。みなさんが思っている以上に厳しいんですよ。最近さらに厳しくなりました。
・原因は?
ほとんどは本態性高血圧と呼ばれるいわゆる生活習慣病です。塩分過多・肥満・喫煙・アルコールなどが原因です。見逃していけないのが二次性高血圧と呼ばれる他に病気があっての高血圧です。腎臓、ステロイドを作る副腎、大きな血管、甲状腺などに異常がないかチェックが必要です。若い人の高血圧や急な高血圧、薬が効かない高血圧には特に注意が必要です。
・予防は?
減量・減塩・禁煙・減酒です。
実は一番血圧を下げる効果が高いのは減量つまりダイエットです。まずは3%減量を目指しましょう。有酸素運動も併用すると毛細血管が発達してさらに有効です。
減塩は効果に個人差があります。日本人は塩分摂取量が多いのでできれば1日6g以下に控えましょう。ベストは3g以下ですが正直味気ないですよね。
禁煙は必須です。禁煙外来で一緒に頑張りましょう!
お酒は1日2合までにしましょう。できれば1合までがベストです。
・薬は?
生活習慣を見直しても効果不十分な場合は薬で治療します。主なものは4種類あります。病気やリスクで使い分けます。もちろん減量などを頑張っていただいて血圧が下がれば薬はやめられますよ。
・カルシウム拮抗薬
血管平滑筋の収縮にはカルシウムイオンチャンネルが働いています。ここをブロックします。血管をダイレクトに広げるため効き目が良いです。心臓の血管が狭くなる狭心症のある方や心肥大のある方にはベストですね。副作用も比較的少ないですが、量を増やすときの浮腫に要注意ですね。
・ARBとACE阻害薬
血圧を上げる作用にレニン–アンジオテンシン系という方法があります。陸に上がった人類が塩分不足や脱水のときに血圧が下がってしまい内臓への血流が減ることを防ぐために作られたと言われています。これをブロックするのがARBとACE阻害薬です。ARBは血管にある受容体に、ACE阻害薬は酵素に働きかけます。心筋梗塞後の方や尿タンパクが出ている慢性腎臓病の方におすすめです。妊娠中の方には使えません。ACEは咳の副作用があります。誤嚥性肺炎予防に利用する場合もあります。
・利尿薬
おしっこの中の塩分量を増やすことによって、塩分を体の外に出します。そうすると血液のボリュームが減って、血圧が下がります。塩分摂取量の多い日本人にはよく効くことが多いです。心臓ポンプ機能が悪くなった人にもオススメです。お年寄りは塩分調整機能が悪くなっていることがあり注意が必要です。
・ベータ遮断薬
ベータって??という感じですよね。交感神経のベータ受容体のことです。興奮したときにでるホルモン、アドレナリンが作用するところです。そのβ1が刺激されると心拍数や心臓から出る血液量が増やされるので、ここをブロックする薬がベータ遮断薬です。心臓の消費エネルギーを減らすので心臓の病気がある方や脈が早い方に適してます。飲んでいる方は脈がゆっくりになりますので運動中の脈拍数が当てになりません。どれくらいの運動負荷をかければいいのかはまた聞いてくださいね。
・目標は?
目標血圧は診察室で130/80以下です。75歳以上の方は140/90以下です。私もそろそろ薬を検討しなければいけなくなってきました。まずはメディカルフィットネスでダイエットかな。皆さん一緒に頑張りましょう!
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
院長 荻野仁志