AからEまであるうちのB型肝炎の話。ちなみに私の血液型もB型です。
- 2021年1月28日
- 肝胆膵疾患
・どんな病気?
B型肝炎ウイルスに感染することでおこる肝炎です。感染しても70~80%の方は肝炎にならず自然に治癒します。急性肝炎を発症するのは、残りの20~30%の方です。大部分は治りますが、治った後も慢性肝炎になってしまう方がウイルスのタイプの関係で最近増えています。慢性肝炎になってそのままにしているとやがて肝硬変になり、肝臓がんになってしまいます。また急性肝炎の1~2%の方は、劇症肝炎といわれる重症となり今でも死亡することもあります。
肝炎.netから画像引用
・どうやってうつるの?
血液または体液からうつります。母から子にうつる母子感染(垂直感染)と、それ以外の人から人へうつる(水平感染)とがあります。
・母子感染
母親がB型肝炎に感染していると出産の際に赤ちゃんにB型肝炎がうつってしまいます。そうするとほとんどの人は無症状で過ごしますが大人になって約10%の人は慢性肝炎になってしまいます。現在は母親がB型肝炎の場合、出産の時にワクチン含めた治療を行いますので、ほぼ赤ちゃんへの感染は防がれます。安心してください。
・水平感染
昔は予防接種での注射器の使いまわしやHBVに汚染された血液の輸血に伴う感染がありました。○○法律事務所とかが盛んにコマーシャルしているのもこれですね。慢性B型肝炎になっていて、昭和の時代に予防接種を受けていて、母親がB型肝炎ではない方は1250万円お金がもらえる可能性ありますから気軽に相談してください。成功報酬は1割で良いですよ!最後はジョークです。
今時うつる原因としては性交渉、不衛生な入れ墨処置、不衛生なドラッグ注射でしょうね。なかでも近年最も多いのが、性交渉による感染です。性交渉を持つときには、コンドームを使用するようにしましょうね。SAFE SEX大事です。
・B型肝炎ワクチンあります
B型肝炎はワクチン(HBワクチン)の接種により感染を予防することができます。3回接種が必要です。当院でも扱っていますので必要な方は申し込みお願いします。慢性B肝炎の治療はお金も時間もかかります。肝がんのリスクも上がります。予防できる病気はしっかり予防しましょう。
・検査は?
血液検査で分かります。B型肝炎の様々な抗原(ウイルスが持っている物質)や抗体(ヒトの体が作るウイルスに対して攻撃する物質)、ウイルスの量などで総合的に判断します。
・治療は?
B型肝炎の場合、ウイルスを完全に体から排除することは不可能です。ですので治療の目的は「肝硬変になることや肝臓がんができることをおさえること。」です。具体的にはウイルスの抗原を減らし、ウイルスの量を減らすことです。治療法は、大きく分けてインターフェロン(IFN)治療と抗ウイルス薬治療があります。
・インターフェロン
インターフェロンはウイルス感染した時に人間の体内で作られる物質で、ウイルスをやっつける働きがあります。半年から1年の投与でウイルスが弱まることが期待できるため治療の基本となります。ただし副作用がやや強く倦怠感や鬱症状、頭痛、発熱などが出たりします。
・抗ウイルス薬
B型肝炎の場合は核酸アナログ製剤といわれるウイルスが増えるのを抑える薬を使います。2021年現在一番の主流はベムリディと言う薬で、コロナで有名になったレムデシビルを作っているギリアド社製です。耐性ウイルスが少なく、腎障害も少ないために主流になっています。欠点は核酸アナログ製剤全てに当てはまりますが催奇形性があるため挙児希望者には使えないこと、やめると急激に肝炎が悪化することもあるため飲み始めたら基本的に飲み続ける必要があることです。
・まとめ
B型肝炎は予防できる病気です。ワクチンを接種してしっかりと予防しておきましょう。もしもB型肝炎にかかって、そのまま慢性肝炎になってしまったら適切な治療と検査で肝硬変と肝臓がんを予防しましょう。
また最近は免疫抑制剤や抗がん剤がきっかけで治っていたはずのB型肝炎が再び悪化するデノボ肝炎が問題になっています。一般的な血液検査では昔B型肝炎にかかって治ってしまっているのかは分かりませんので気になる方は気軽に相談してください。もちろんB型肝炎給付金の適応があるのかも検査させていただきます。
愛知県は肝炎医療費助成制度が厳しいので、慢性B型肝炎の継続した治療が必要な方は近くの総合病院を紹介させていただきます。治療後のフォローなどはもちろん当院で可能ですよ。よろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志