AからEまであるうちのC型肝炎の話。ちなみに私の血液型はB型です。
- 2021年1月29日
- 肝胆膵疾患
・どんな病気?
C型肝炎ウイルスに感染することでおこる肝炎です。C型肝炎ウイルスにかかると30%の人は一時的な症状だけで完全に治りますが、残りの70%の人は慢性的に肝臓の炎症が続く慢性C型肝炎になってしまいます。慢性肝炎になってそのままにしているとやがて肝硬変になり、肝臓がんになってしまいます。
肝炎.netより画家引用
・どうやってうつるの?
C型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスと比べると感染力が弱いので血液からうつるのがほとんどと考えられています。不衛生な刺青処置や注射器の使い回しなどですね。性行為などでうつることは稀です。母から子にうつる母子感染(垂直感染)も非常に少なく10%以下と言われています。しかも発症はさらに少なく3歳までに約3割が自然治癒します。ですのでB型肝炎と違って出産時に特別な治療などは行いません。
・C型肝炎はワクチンありません。
B型肝炎と違いC型肝炎ウイルスへのワクチンはありません。HIVもそうですがRNAウイルスは変異しやすいので効果の続くワクチンを作るのが難しいのです。しかし2021年同じRNAウイルスである新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンが登場しました。私はこれがブレイクスルーになってHIVやC型肝炎、EBウイルスなどにもワクチンができるのではと期待しております。
・検査は?
血液検査で分かります。C型肝炎の抗原(ウイルスが持っている物質)や抗体(ヒトの体が作るウイルスに対して攻撃する物質)、ウイルスのタイプや量などで総合的に判断します。
・治療は?
2015年まではインターフェロン治療のみでした。インターフェロンはウイルス感染した時に人間の体内で作られる物質で、ウイルスをやっつける働きがあります。しかし半年から1年も投与して3〜4割の人しか治りませんでした。しかも副作用が強く倦怠感や鬱症状、頭痛、発熱、脱毛などがあり抗がん剤並みでした。昔のC型肝炎は不治の病と言ってもいいでしょう。
・直接型抗ウイルス薬
2014年初めて直接型抗ウイルス薬ダクルインザスンベプラが発売されました。使ってみて私感動しました。こんなに少ない副作用でこんなに治るのかと。まさに戦国時代の鉄砲伝来のようです。ただし当時はまだ欠点がありました。遺伝子変異ウイルスには効果が弱いのと、透析患者さんや肝硬変の患者さんに使えないという点です。
・マヴィレットが天下統一
2017年の年末に発売になりましたマヴィレットが天下統一しました。日本人治癒率100%、遺伝子変異ウイルスにも100%、ウイルスのタイプが違っても問題なし、透析患者さんにもそのまま使用できる、肝硬変患者さんにも使用可(肝硬変末期は不可)。もはや無双です。本田忠勝です。現在肝硬変末期にはエプクルーサという薬が適応になり最後のピースも埋まりました。C型肝炎は完全に治る時代になりました。その時歴史は動きましたね。
・まとめ
C型肝炎は完全に治る時代になりました。ただウイルスがいなくなっても肝硬変になっていたら元のきれいな肝臓には戻りません。毎年のエコー検査で肝臓がんを早期発見しましょう。愛知県は肝炎医療費助成制度が厳しいので、慢性C型肝炎の治療が必要な方は近くの総合病院を紹介させていただきます。治療後のフォローなどはもちろん当院で可能ですのでよろしくお願いします。
愛知県名古屋市中村区本陣通2-19
内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志