・どんな病気?

膵臓にできるがんです。正確には膵管からできるがんですね。肝臓がんを抜いて死亡ランキング第4位のがんになりました。膵炎は男性に多いのになぜか膵がんは女性も多いです。しかも5年生存率7%とダントツで悪いがんです。個人的になりたくないがんの1位ですね。

・症状は?

早期には症状ありません。だから問題なのです。痛みや黄疸が出てからでは進行がんになっていて、発見から数ヶ月から半年で亡くなってしまうというのは残念ながらよくある話です。

・原因は?

①遺伝

親兄弟に膵がんがいる場合膵がんリスクが上がります。特に50歳未満だったり2人以上いる場合には非常にリスクが高いので要注意です。

②糖尿病

糖尿病があると膵がんリスクは約2倍です。特に今までどうもなかった人が糖尿病になったり、血糖コントロール良好だった人が理由なく悪化した場合は要注意です。

③慢性膵炎

リスク5倍〜10倍とめちゃくちゃ高いので3ヶ月ごとのエコー検査をお勧めします。

・検査は?

①腫瘍マーカー

CA19-9, SPan-1, DUPAN-2, CEAなどがありますが、これらが上がってきてたら既に進行がんです。手遅れです。抗がん剤の効き目を見るのには適してます。

腹部エコー

腹部エコー検査は簡便で負担のない安全な検査法です。膵がんの早期発見の鍵となる検査です。膵管が太いとか袋状のものがあるなどの情報が膵がんのスクリーニングに役立ちます。ただし胃腸のガスや肥満があると膵臓が見えにくい場合があります。そういう場合は腹部エコー検査だけでは難しいです。

CT

造影剤を使ったCTでは病変の大きさ、位置、広がりをとらえることができます。しかし造影剤は腎臓に負担がかかるためにできれば頻回に検査するのは避けたいところです。

MRI

MRICTと異なりX線被曝がないため、短期間に繰り返し検査しても心配がありません。しかし撮影に時間がかかりブレやすいのが欠点です。膵がんでは膵管に異常があることが多いため、MRIを用いて膵管および胆管を低侵襲に描出することができるMRCPを実施することで診断の補助をすることができます。

⑤超音波内視鏡

超音波内視鏡は先端にエコーがついた胃カメラです。胃や十二指腸から膵臓のエコー検査ができます。体表からのエコー検査にくらべて消化管ガスの影響を受けることがほとんどないため、胃や十二指腸に取り囲まれた膵臓の観察に優れています。CTでは描出できない小さいがんも検出することが可能です。また、EUS-FNA(EUSガイド下穿刺吸引法)といってエコーで膵臓の腫瘤を直接観察しながら針で刺して組織や細胞を採取し、これを顕微鏡で観察することで病理診断することが可能です。欠点は機械が高価で大きい病院にしか置いていないこと、検査が大変で気楽に受けられないこと、検査をする人の技術で診断に差が出てしまうことです。

・治療は?

がんが膵臓にとどまっていれば手術ができて5年生存率50%以上が期待できます。膵臓の外にまで広がっている場合はまずは抗がん剤治療をしてから手術を行うことが推奨されていますが、血管にまでがんが広がっていると手術をしてもがんが取りきれないため手術ができません。そうなるとその後の経過は現実的にはかなり厳しくなってしまいます。

・まとめ

膵がんは症状に乏しく、検査が難しく、血管やリンパへの進みが速く、とても手強い病気です。私も何度も痛い目にあっています。リスクの高い人には3ヶ月ごとのエコー検査をおすすめします。そして少しでも怪しければ総合病院へ紹介します。膵がんだけはオーバートリアージいわゆる慎重になりすぎで悪いことはないと思っています。なんとか一緒に克服していきましょう。よろしくお願いします。

 

愛知県名古屋市中村区本陣2-19

内科・内視鏡内科・糖尿病内科・整形外科

ヴェルヴァーレ本陣クリニック

院長 荻野仁志