大腸の役割は食物を消化吸収した後の残渣の水分量を整えて最終的に便にすることです。ですから普通に生活していれば大腸の中には常に便が貯留していることになります。

大腸内視鏡検査は便が残っていないきれいな大腸の状態でないと検査しても便しか見えず実施する意味がありません。そのため内視鏡検査前には大腸をきれいに洗浄するための処置が必要でありこれを「前処置」と呼びます。

前処置の方法は、検査前日までに行う処置と検査当日に行う処置の2つに分けられます。

・検査前日までに行う前処置
検査当日までに行う準備としては、第一に食事が重要です。胃から小腸にかけてほぼ完全に吸収されるような低残渣食が理想的です。反対に根菜や葉物野菜、海藻などは食物残渣が残りやすいため避けていただきます。
食事制限の日数は、多くの施設で1日〜3日程度に指定されています。では何日制限すればよいかと言うと、もともとの便秘の程度にもよりますが、便秘がない方に限って考えれば
1日のみで問題ありません。
また、検査前日に、事前に前処置薬の下剤内服を指示されます。刺激性下剤(センノシド・アローゼン・ラキソベロン)などです。

・検査当日の前処置
検査当日は朝から絶食です。そして腸管洗浄のために洗浄液を内服して頂きます。基本はポリエチレングリコール(PEG製剤)です。日本でよく用いられているのはこの基本型のPEG製剤(ニフレック)です。近年はアスコルビン酸を添加してより高張にしたモビプレップや刺激性下剤の一種であるピコスルファートを含有させたピコプレップなども使用されています。
また、PEG製剤ではなく、クエン酸マグネシウム液製剤のマグコロール、ナトリウム・カリウム配合剤液のムーベン、リン酸ナトリウム塩のタブレット製剤であるビジクリアなども使用可能です。
共通して言えることは、等張液あるいは高張液の製剤であり、浸透圧効果により内服した溶液が体に吸収されることなくそのまま腸管を洗浄するという作用機序です。
ピコプレップやビジクリアなどの例外はありますが、一般的には2000mL程度とかなりの量を飲む必要があるため、飽きないように味の違いで選ぶというのも手ですね。スタンダードなニフレックかマグコロールを試してみて、合わない場合にはモビプレップにしてみる。どうしても味のついた溶液がダメならビジクリアにする(錠剤なので、飲むのは味のない水だけ)。という感じでいろいろ選べます。個人的にはスポーツドリンク味のマグコロールが好みです。もともと便秘のある方の場合は、刺激性下剤を前日1回内服するのみでは腸がきれいにならず、数日間内服して頂く必要があります。

前処置がきちんとできているか評価することは非常に重要です。なぜなら腸管洗浄度が良いほど腺腫性ポリープ同定率ADRが向上することが報告されているためです。腺腫性ポリープ同定率ADRは施設や検査医師における検査の質を推し量るためのQuality indicatorです。きちんとした前処置と丁寧な観察がポリープや早期がんの見落としを減らしますのできちんと行えるよう当院でも常に心がけております。よろしくおねがいします。

 

 

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内科 内視鏡内科 糖尿病内科 整形外科
ヴェルヴァーレ本陣クリニック
院長 荻野仁志